昼の月
episode.05 (ページ1/5)

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先ほどのがしたターゲットを追いかけ、名無子は断崖から森の中へと木々の上を疾走する。
なかなか相手の姿をとらえられず、集中力が低下してきたとき、横手からゴウッと火の手があがった。

火遁豪火球――。

奇襲をかけようとしたのだろう、右手の林の中に潜んでいる男がその場に飛び込んできた名無子目がけて術を発動したようだ。
名無子は急いで枝の上から地面に飛び降り火炎をよける。
右足のホルダーからクナイを取り出し、男が隠れているであろう方向に構えようとした。
が、一呼吸遅かった。
木々の間からはすでに男が飛び出し、自分のほうへと襲いかかっている。
男の右手に握られたクナイが名無子の左胸に狙いを定め、そして、

ザシュッ……!!

名無子が身をよじったせいで胸への照準はずれたものの、クナイは左上腕部に深々と突き刺さった。

あぁ……痛いな。

痛点を刺激するクナイの傷に、名無子は相も変わらず奇妙な生命力を感じ、胸の奥でホッと息をつく。
目の前の男が名無子にむかってニヤリと笑った。

「かわいそうにな、痛いだろ? 俺のクナイをよけなきゃいいのに。そしたら今頃楽に死ねてたろうよ」
「その言葉、アナタに返すわ。私は別によけたわけじゃない」



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