昼の月
互い贔屓 (ページ8/10)

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「ねぇ、ねぇ、サクラちゃん……このふたり、どうにかなんないのかってばよぉ」
「文句言っても仕方ないでしょ、見ないようにしなさいよ」

甘栗甘に着いた四人はさっそくテーブル席でおしながき見はじめた。
隣同士で座るサイと名無子は肩を寄せ合い、なにを頼もうかふたりで話しあっている。

「サイは何にするの?」
「僕は……みたらし団子にしようかな」
「みたらし団子、いいわね。あ、でも、私はみつ豆にしようかしら」
「なぁ、なぁ、俺はさ、あんみつにしよっかなぁーって思っててさ!」

話題に加わりたい一心でナルトが懸命話しかけると、名無子は冷めた瞳で一瞥した。

「……そう」

軽く頷き、またおしながきに目を落としてしまう。

「〜〜〜……」

相手にされないナルトは歯がみするしかない。
サイにしても、ナルトに対するフォローなど全くなく、それ以前に、ナルトが傷ついていることさえ気づきもせず、自分にだけ心を開いている名無子と機嫌良く話すだけだ。
その後も、注文の品を待つ間や実際にメニューが揃い、食べはじめてからも、名無子の目にはサイしか映っていないとでもいうほど、ナルトとサクラと言葉を交わさず、サイはサイで、一応四人で話しはするが、どこかやっぱり名無子贔屓な態度に見えた。
ナルトが目の前のあんみつから、スプーンであんこをすくい、バクリと食べる。
不機嫌そうに顔をしかめ、小さな声で呟いた。



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