昼の月
互い贔屓 (ページ7/10)

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「いやッ、サクラ、僕はただ本当のことを……」
「本当ってなにィィイーー?!」

サクラが右の拳に体重を乗せ、渾身の一発を繰り出した。
しかし、

ガッ――!!

サイの顔前で、サクラの拳は見事に停止した。
すぐ脇から名無子がサクラの腕を握り、拳を止めたのだ。
サクラが名無子を横目で見る。
名無子が涼しげな蒼い瞳でギリッと睨み返した。

「サイに手を出さないで。許さない」

しばらく女ふたりで火花を散らし、それからサクラがパッと名無子の手を振りほどいた。

「ふん、バッカみたい」

サクラが名無子に背を向ける。
サイの隣でなにも言わず佇む名無子をサクラが肩越しに振り返った。

「でも、仲間を大事にする忍は嫌いじゃないの。ほら、アンタもさっさと来なさい。甘栗甘行くわよ、名無子」

キョトンとする名無子の背をサイがニコリと笑って優しく押した。






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