真昼の月
互い贔屓 (ページ6/10)
名無子らしいブルーの済んだ視線にまっすぐ見つめられ、サイはふっとその瞳の中に少しばかりの感情を見出だす。
もしかして、心配してる?
サイの頭に嫉妬という二文字が浮かんだ。
自分とサクラが仲良くすることを名無子が気にするとしたら、それはきっと嫉妬という感情じゃないだろうか。
さっき自分がナルトに感じた想いとはちょうど真逆のもの――。
そう思ったら、ついつい頬が緩んでしまった。
名無子の顔を覗き込み、しっかりとした声で伝える。
「仲が悪いとは言わない。でも、それは友達とか仲間としての親しさで、恋人とか異性に対するモノとはまったく別物だよ」
サイは無邪気に笑みを浮かべて念押しの言葉を口にした。
「第一、僕はサクラみたいなブスな女の子、好きじゃな……」
「ぬぁぁあーんですってぇぇえーー!!!」
もう、ずいぶん先まで歩いていたであろうサクラが振り向き、雄叫びをあげた。
「誰がブスだ、サイ?! しゃぁーんなろぉぉおーー!!」
つかんでいたナルトの腕を放りだし、サクラが猛ダッシュでサイに迫る。
その姿に珍しくサイが感情もあらわに青ざめた。
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