昼の月
互い贔屓 (ページ4/10)

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サイが二つ返事で頷き、名無子も素直に頭を見せる。
その姿に当然ナルトが口を尖らせた。

「なんだってばよ、俺がせっかくとってやるって言ってんのにさぁ……」

ブツブツ文句を垂れるナルトの前では安心しきった顔で名無子がサイに髪の毛のゴミを取らせている。

「ちぇー」

ナルトがもう一度ひとりごちた。

「はい、取れたよ」

サイが名無子に髪についていた小さな枯れ葉を見せた。

「ありがとう、サイ」

微かに笑顔を見せた名無子にサイの胸もほわりと温かになる。
ナルトに触らせなかった髪を自分には触らせたこと。
そんな些細な相違でさえ、名無子が自分を特別扱いしてくれているようでサイには満足に思えた。
髪に付いた木の葉を取り終え、ふたりで向かい合っていると、サクラが冷たく言い放った。

「早く甘栗甘に行きましょ」

さっと踵を返し、名無子に背を向ける。
ナルトがすっかり忘れていたという顔で声をあげた。

「そうだった、甘栗甘!! さっさと行くってばよ!!」



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