昼の月
互い贔屓 (ページ2/10)

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「特に任務の連絡は入ってない。ただサイの姿が見えたから」

名無子の返事に思わずサイが笑みをこぼした。
ただ姿を見つけたからと声をかけ、そばに走り寄ってきた。
その事実がすごく嬉しいと思った。

「そう」

サイが口元をほころばせ頷くと、横から大きな声が割ってはいった。

「サイ、その子、誰だってばよ?!」

興味津津の声の主は傍らに立つナルトのもので、サイはそちらへ視線を向ける。

「名無子だよ。僕と同じ暗部所属の」
「へぇー、サイの仲間か!!」

ナルトが目をキラキラさせながら身を乗り出した。

「俺はナルト。よろしくな、名無子!!」
「……よろしく」

サイの後ろに隠れるようにして、名無子がそっけなく挨拶を返した。
人見知りしがちな名無子としては当然の反応で、でも、サイには彼女のナルトに対するつれない態度がほんの少し好ましく感じた。
自分に向けられた親しみが特別なモノのように思えたからなんだろう。
ナルトの横にはもうひとり、サクラが立っていて、サイは今度は彼女に声をかけた。

「サクラは一度会ってるよね? 名無子と木の葉病院で」



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