昼の月
episode.18 (ページ4/4)

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本当は怖いんだ、この世界から剥がれおちるのが。
だからいつだって剥がれおちないように必死になる。
平凡な自分でもこの世界に繋がっていられるように、友達のため恋人のため一生懸命頑張ってみる。
誰かの手を握ることでこの世界に繋がっていようとする。
けど私の手を握り続けてくれる人など誰もいなかった。
みんなキレイに私の手を放してみせた。
すると私の体は背中からいとも簡単に落下して空から剥がれおちてしまう。
そんな自分を真昼の月がそのまっ白な表情の下、空の高みから嘲け笑うんだ。
バカだなぁって、月が落ちていく私を笑うんだ。
あぁ、そうだ、私はバカなんだ。
だからこのまま落下して地面に叩きつけられ死ねばいい。
そしたらもうこんな淋しい想いなどしなくて済むのだろう――?
白っちゃけた蒼い空。
その中に浮かぶ脱色したような白い月は私の嫌いな真昼の月。
その侮蔑の視線を浴びながら私は何度も何度も落ちていく。
期待してはいけないのだと、平凡な私には期待すると言う希望的な行為でさえ許されてはいないのだと、自分の芯に刻み込むために。
私をこの空虚な世界でいつか掴んでくれる人間がいるなどと期待しないように。
そのために私は何度も墜ちていくんだ――。





to be continued.
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