昼の月
episode.17 (ページ1/3)

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手足を拘束され、猿ぐつわに目隠しまでかけられた名無子は馬の背に乱雑な扱いで乗せられたあと、連中のアジトへと連れて行かれた。
体をくの字に曲げ、馬の背に腹をひっかかけた体勢で運ばれていく。
馬の歩調に合わせてゴトゴトと体が揺れ、そのたびに腹部を馬の背骨に打ちうつけるのだが、身動きのできない名無子にはどうすることもできない。
周りの景色でも見られれば気もまぎれるのかもしれないが、なにぶん目隠しまでされている状態だ、真っ暗な闇以外その目に映るものなど何もなかった。
しかも馬に寄ってきた蝿だろうか、耳元でブンブンと飛びまわる虫がおり、それもどうにかしたくてたまらなかった。
その蝿の音がいつの間にか名無子のそばから消え失せたころ、彼女を連行している一行が動きを止めた。
どうやらアジトに着いたらしい。
それを証明するように名無子の体は馬から引きずりおろされ、猿ぐつわと目隠しがはずされた。
急に投げ込まれた光の世界に目を細める。
明順応しようと頑張る瞳孔が徐々に世界の輪郭を取り戻し、名無子はようやく自分の連れてこられた場所を認識した。

ここは……。



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