昼の月
episode.15 (ページ3/3)

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しかし、このままでは自分もやられるに違いない。
二人とも生かす道をサイは懸命に考える。

『女は殺すんじゃねぇーぞ。楽に死んでもらっちゃ困るんだよ』

真っ直ぐにキリの顔を見つめたままサイは脳裏に男が言っていたセリフを思い浮かべた。

楽に死なせたくない、彼は確かにそう言った。
だったら、ここで名無子を殺すのは本望ではないはず。
そしたら、彼が望む状況、取る可能性の高い行動は――。

サイは手にしていた刀を静かに背中の鞘に戻した。
その行動にキリが軽く目を瞠る。

「そうか、この女のためにお前、死ぬか」
「なっ……わた、し……は……どうでも……いい、コイツを……殺……して!!」

地面からへどを吐くような呻き方で名無子が叫ぶ。
キリが首を踏んでいた足をあげ、勢いよく名無子の頭を踏みつけた。
ゴフッと漏れた名無子の苦悶の声を耳にキリが口端を引き上げて低く命じた。

「ソイツを殺せ」

抵抗のすべを持たぬサイめがけて、男たちが武器をこぞって振りあげた。





to be continued.
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