昼の月
episode.14 (ページ4/4)

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目の前の名無子はいつものように何の感情も乗せない顔で男を見つめている。
だが、ビンゴブックでこの男のことを見たとき、確かに名無子も一瞬おかしな反応を見せていた。
それを思い出し、サイの目がわずかに細まる。

二人はお互いを知っているのか?

それがなぜかはわからないが、過去に二人をつなぐ何かが起きていたのはそう間違った推測とは言えないように思えた。
対峙する男の周りでは自分たちの上に立つ頭が呟いた憎悪の念に、部下たちがどよめきを見せていた。

「親分?」
「どうかしたんですかぃ?」
「コイツらも始末しちまいましょうかね?」

口々に言い出す部下の言葉はキリの地鳴りにも似た声によって簡単に鎮められる。

「殺せ」

下っ端連中が一斉に歪んだ笑みを浮かべた。
その手に握られた戦利品がボトボトと地面に落とされて、代わりに武器の数々が握られる。
そこへもう一度、中央からキリの声がかかった。

「ただし男のほうだけだ。女は殺すんじゃねぇーぞ」
「へい!」
「へぇ!」
「はいよ!」

次々と勢いよく返事を返す部下どもにキリは名無子を睨みつけたまま低く唸った。

「その女は、楽に死んでもらっちゃ困るんだよ」





to be continued.
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