昼の月
episode.11 (ページ2/2)

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「一時期、僕は根から派遣されて通常任務に就いてたことがあるんだ。そのときチームを組んだ人たちはみんな互いを仲間として大切にしてた。たとえ相手が振り向いてくれなくてもずっと仲間のつながりを守ろうとしてた。正直、僕にはまだ彼らのように確かな思いを持ててはいないけど、いつか僕も彼らと同じくらい仲間との絆を守れるようになりたいと思うんだ」

名無子がその冷ややかな視線をサイに向け、かすかに首をかたむけた。

「自分の感情もないのに? そんなふうになれると思うの?」
「わからない。でも自分に感情がないなら探し続けるよ。仲間とのつながりなら守れるように追い続ける。あきらめないって決めたんだ。あきらめないってことも彼らから教わったことだから」

言い終えて、サイがもう一度その透き通るように白い肌とは対照的な漆黒の瞳に笑みを浮かべた。
サイのどこか儚さを感じさせる笑顔に真昼の月が重なって見える。

やっぱり似ている、真昼の月に。

真昼の月と同じようにこの人は孤独と寂しさをないまぜにした空気を纏っていて、でもどこかそんな自分の姿と闘っているみたいだ。

『あの居場所さえ無いような孤独感や懸命に空にしがみつこうとするような姿はなんだか見てて救われる気がするよ。自分も同じつまらない存在だから』

この人は。

名無子の視線がサイに吸い込まれていく。

きっと、この人は強いんだ。
真昼の月を否定した自分よりもその存在を肯定してみせたサイのほうが、きっと、ずっと強い――。

自分の中に沈下している名無子の溺れた体が外的な力にひどく揺さぶられ、そのせいか、この世界が大きく歪曲して見えた。





to be continued.
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