昼の月
episode.07 (ページ5/6)

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「ふたりとも助けろとは言わねぇよ!! 俺だけでもッ……。だってコイツが死んでも悲しむ仲間なんかいねぇしッ!! なぁ、そうだろ、名無子?!」

血走った目を名無子に向け、彼が続ける。

「お前、ホントつまんねぇし、平凡だし、いてもいなくてもどうでもいい人間だもんな!! 同期の女どもも言ってたぞ、お前は真昼の月だって! 昼間の空に作られた染みのような月とおんなじ、お前もこの世界に作られた染みみたいなもんなんだとよ、役に立たねぇ存在ってことさ!! それならここで俺の役に立っとけ!! 俺のために死ねよ、お前ッ!!」

眉を吊り上げ、自分を見つめる彼の必死な形相に、それが本心だったのかと思う。
思いあってるなんて信じていたのは自分だけ、好きだなんて言葉は真実ではなかったわけだ。

アカデミーの時と同じだ。
結局、今もあの時と何も変わってはいないんだ――。

その後のことはほとんど覚えていない。
気づいたら名無子は単身血だらけで里に戻ってきていた。
どうやら感情とチャクラが暴走して敵陣をなりふり構わず攻撃し、それにより生じた混乱にまぎれて逃れてきたらしい。
一緒につかまった彼がどうなったのかは知らない。
でもそれももうどうでもよかった。



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