昼の月
episode.07 (ページ3/6)

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「名無子は私の親友なんだから」

そんなふうにも言ってくれたのに。
でもそう信じていたのは自分だけだったらしい。
目の前の彼女は鏡の中にクスリと何かをバカにしたような笑いを漏らした。

「ホント名無子って平凡すぎてつまんないよねー。いてもいなくてもどうでもいいって感じ」
「うわ、それっている価値なし?!」

ふたりはおかしそうに笑い、その笑い声に名無子はトイレの入り口で呆然と立ち尽くす。
そんな名無子の姿を洗面台から振り向いた二人が見つけてしまった。
バチリと合った彼女らの目の瞳孔が嫌なモノを見たと証明する如く一気に収縮し、あれだけトイレに響いていた笑い声がピタリと水を打ったように止んだ。
取り繕う言葉のひとつでもかけてもらえたら、もしかしたら少しは救われたかもしれない。
けれど、彼女たちはそれさえもなく、

いつからそこにいたの?
立ち聞きなんて最低―。

全身から罵りの色を立ち昇らせて名無子の横を通り過ぎて行っただけだった。
次の日からは簡単だ。
名無子の存在などあってもなくても意味などないというようにシカトの毎日、ただそれが始まっただけだ。





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