昼の月
episode.06 (ページ4/4)

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ねぇ、名無子、キミもそうなんじゃないだろうか。
寂しいとか嬉しいとか、僕と同じで自分の気持ちが見えてないんじゃないだろうか。
僕と同じ――。

『なんかあの子、サイに似てたから』

木の葉病院でサクラに言われたことも今なら頷ける。
そうかもしれない。
確かに名無子は以前の自分に似ているかもしれない。
だったら自分が彼女を心配したら、彼女もちょっとは嬉しくなるのだろうか。

名無子も自分の気持ちが見えるようになるだろうか――。

足を止めたままサイはふぅっと天を仰いだ。
見上げた空にまっ白な月が引っかかっている。
自分の居場所さえ無いようなひどい不安定さを孕んだ真昼の月は空の中から落ちないよう懸命にぶらさがっているみたいだ。
その姿は名無子を彷彿とさせ、サイは、あぁ、と思った。
里を出るときに空を見つめていた名無子。
彼女が何を見ているのか知りたくてその視線を追ったサイはあの時どういうわけか何の迷いもなく白い月に目を留めた。
名無子が見ていたのは月、そう直感したのはきっと、

名無子がどこか真昼の月に似ているからだ――。

サイは漠然とそんなことを思った。





to be continued.
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