昼の月
episode.06 (ページ3/4)

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以前の自分なら特になにも思わなかっただろう。
誰が怪我をしたって、たとえ本人自ら受けにいってたとしても、それどころかその傷を与えたのがサイ自身だったとしても、きっとサイは気になど留めなかったに違いない。
任務を成功させる上でそうなっても仕方がないと考えたはずだ。
だけどもう以前とは違う、今の自分は同じチームの仲間が傷つく姿を見たくなんかなかった。
強くそう思うサイの頭にふっと先ほどのひどく無感情な名無子の声が響いて、サイは足を止めた。

『仲間、ね……。だったらなおさら私には関係ないわ』

根に所属する忍なら当然と言える反応だった。
任務を完遂させるだけのチーム、そのために集められたメンツを根の忍が仲間だと特別視して大切にするなんて有り得ない。
名無子の言った言葉も反応もその考え方もサイにはすんなりと受け入れられた。
なぜならそれはちょっと前までの自分自身の姿と同じなのだから。
仲間なんて単語、その言葉面しかわかってなくて深く考えてもみなかった。
それを、ナルトやサクラに出会って初めて教わった。
仲間がいて、その仲間に心配してもらえるのはひどく嬉しいことなのだと。
自分の中に溜まっていた寂しさを、サイはそのときようやく目にした気がした。
自分は本当は寂しくて、きっと誰かとつながりたいんじゃないかって、サイは初めて気がついた。



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