昼の月
episode.06 (ページ2/4)

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サイは埃っぽい砂利道を小走りに進みながら、ツッと視線を落とし、心の中で小さく呟く。

でも本当は自分もちょっとだけわかっていたのかもしれない。
名無子がもしかしたら自分から傷を受けに行ってるんじゃないかって。

サイはそれを裏付けるかのような一人目のターゲットと戦った自分たちのことを思い出していた。
あの男を倒すとき、名無子は手裏剣の傷をその身に数ヶ所受けた。
それを見て自分はすかさず援護に入った。
けれど、あれも彼女にしてみたら、

わざとすべての手裏剣を打ち落とさず、望んで負った傷だったのかもしれない――。

自分のその考えにサイは頷く。
あの時はそんなふうに思いもしなかった。
今だって進んで肯定したい推測ではない。
でも、さっきの戦い方で明白になった気がする、名無子は確かに自分から傷を受けに行っていたのだと。
どうしてそんなことをするのかはよくわからない。
けれど、と口の中でポツリと漏らす。

「やっぱりそれは、嫌だな……」



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