昼の月
episode.04 (ページ3/6)

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ビンゴブックに載る二人目のターゲットとは断崖で戦うことになった。
森を抜けた先に延びる切り立った崖の上、狭い足場に気をつけながらサイと名無子は標的となる男との攻防を繰り返す。
彼らの足元の数十メートル下では谷川の水が勢いよく流れ、両端の岩壁に当たってはまっ白な飛沫を飛び散らせている。
戦いの最中、足でも滑らせ落ちでもしたら、崖下の奔流にのみ込まれ呆気なく命を失ってしまいそうな激しさだ。
そんな死と隣り合わせの危険な崖端に立ち、名無子は男からの攻撃を必死にかわし続けていた。
優勢なのは攻め込む男のほうだ。
谷を背にする名無子は逃げるにもその都度、立ち位置を確認しながらの足運びとなる。
自分の思い通りの退路を確保することができず、さらにはそれを充分見抜いている相手の攻撃は一撃ごとに破壊力を増し、名無子はジリジリと追い詰められていった。
その様子にサイも援護に入ろうとするのだが、なにぶん先細りの崖の上、自分が突っ込んで行くと名無子の動ける範囲を狭めることになる。
男の背後から攻撃を加えたところで、それを男が下手によければ名無子を窮地に追い込む可能性もあり、サイは自分の攻め込む隙を狙いながら名無子の防戦を見守るしかなかった。



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