昼の月
episode.03 (ページ4/6)

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無味な連絡のみを伝えて名無子はサッサと踵を返す。
その背中に、サクラが治療の手をとめ、棘のある声をかけた。

「待ちなさいよ」

名無子の顔がサクラのほうへ向けられ、まったく何の関心も見せない両の目が呼びとめた相手の上に止まった。
その名無子のまなざしにサクラが容赦なく噛みついてかかる。

「聞きたいことがあるの。あなたがサイにこの傷を負わせたの?」

名無子の口が迷いもなく動いた。

「えぇ、そう」
「……ッ!! そう、じゃないでしょ?! サイは自分の仲間なのよ?! その仲間をこんなッ……!!」

名無子はよくわからないといった顔で首を傾げた。

「あなた、任務に出たことある?」
「あるわよ、何度も!」
「だったら何をそんなにわめいているの? 忍の最優先事項は任務の遂行、そのために他の忍が傷ついても仕方がないことじゃない」
「仕方がないですって?!」
「それに」

名無子はサクラの目を見てまっすぐ言った。

「彼の傷ならちゃんと肺にも大きな血管にも刀が当たらぬよう刺してある、止血もした。命に別条はないはずよ。それなら問題はないでしょう?」
「問題なら大アリよッ!!」



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