昼の月
episode.02 (ページ4/4)

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大地を震わす咆哮をあげ、鋭い歯牙で容赦なく噛みつく二頭相手に攻撃対象の男は必死の抵抗を見せる。
男はなんとか一匹の頭蓋にクナイを突き立てグシャリと墨に戻すと、残りの獅子にも素早く起爆札を貼りつけた。
カッと荒い閃光を放った直後、バンッと大きな音を立て爆発した起爆札が煙と一緒に辺りに墨を撒き散らす。
その光景を前に唐獅子を始末した安堵が出たのだろう、男に一瞬の気の緩みが生じた。
男の隙を見逃さず、サイが即座に地を蹴った。
サイは男に飛びかかり、虚を突かれた男はサイの体をよけきれずにドンッと地面に倒れ込む。
サイが仰向けになった男の体を馬乗りになって抑えつけ、喉元にクナイを突きたてようと上体の体重ごとのしかかった。

「クッ……ゥ……」

小さなうめき声をあげ、男はサイのクナイを自分のそれで懸命に受け止め返す。
ギギギッとクナイを押しあう二人は草地に折り重なったまま膠着状態に陥った。
そのそばで冷静に成り行きを見守っていた名無子は背中からスルリと刀を抜いた。
ザッザッと草を踏み、刀を手にした名無子がかなりの密着度でクナイを押しあう二人のかたわらへ近寄っていく。
二人の肩口で立ち止まり、眼下の彼らを一瞥した。
そして、両手で刀をつかみ――振り上げた。

ザグッ……!!

名無子がサイの肩先から、彼の体ごと敵を貫いた。





to be continued.
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