昼の月
episode.22 (ページ1/2)

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塔の右側に建つ建造物のニ階大広間では、大勢の敵を前にサイがひとりで奮闘していた。
サイがこの部屋に飛び込んだ時点で既にいた連中のほか、他の場所の警備にあたっていた人員も騒ぎを聞きつけたのだろう、時間が経つごとにこの場所へと人が集まり、今ではその数もかなりのものに膨れ上がってしまった。
それをサイは一手に相手取っている。
キツイなんて言葉では足り得ない壮絶たる緊迫がサイのまわりで衝突しては爆ぜ散じ、一瞬でも本能を緩めた者を生という健全な世界から死という凍結した闇の空洞へと引きずり込んでいく。
生と死がせめぎ合う軋轢の狭間でサイは根で培った感情に曇らぬ水晶体を辺りに冷静に走らせて、次々に飛びかかってくる男たちを握った刀で鋭く急所突きした。
正面の男の心臓を一突きし、その体を蹴り飛ばして後続の者たちを将棋倒しに雪崩れさせる。
と、次の瞬間にはもう左から迫る男の頸動脈に白刃を滑らせ、さらに右から刀を振りかざし飛び込んできた人物を横なぶりに両断していた。
しかしどれだけ手際よく始末していっても膨大な敵の数にはなんとも敵いようがなく、サイの息は次第に荒くなっていく。



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