昼の月
episode.02 (ページ3/4)

 bookmark?


木の葉の里にほど近い森の中で目当てとする男の姿をとらえた。
男は背の高い草や木々に覆われた薄暗い獣道を歩いており、まだこちらの存在には気づいていない。
名無子が躊躇することなく、さっそく奇襲を仕掛けた。
獣道を進む男に向かって枝を蹴り、その横から数本のクナイを浴びせる。

「――ッ?!」

即座に反応した男が前へ飛びのきクナイをよけ、そこに突っ込んで行った名無子のまわし蹴りを蹴り返すとすかさず手裏剣を投げてよこした。
6枚の手裏剣が受け身で地面に転がった名無子の体に吸い込まれて行く。
名無子はパッと立ち上がり、体勢を整えると同時、手裏剣の攻撃から逃げることなく、あえてその中に飛び込んだ。
ホルダーからクナイを取りだした名無子は柄をしっかり握りしめ、それで4枚の手裏剣を金属的な甲高い音とともに弾いた。
が、残りの2枚はそのとがれた刃をめまぐるしく回転させて名無子の両腕の皮膚を切り裂いた。
ズキッと、鋭利な痛みが名無子を襲う。
肌に生まれたその切れ味のよい痛みが名無子に自分が生きてることを知らしめて、胸の中にはいつも感じる変な安堵感が走った。
ほぅっと小さく息を吐き出し、名無子は勢いを殺すことなく、クナイ片手に男に飛びかかっていく。
そのとき――。
名無子の両脇から墨絵の唐獅子が攻撃に割って入った。
それはサイの放った獅子たちで、名無子の援護のつもりか、ターゲットの男の体に大きな口を開け、牙を剥き出しにして攻め立て始める。



(ページ3/4)
-8-
|
 back
select page/92

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -