昼の月
互い贔屓 (ページ9/10)

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「このふたり、つきあってんのかってばよ……」

サクラが隣でほおづえつきながら、クリームみつ豆をスプーンでつついている。

「さあね」

こちらもやはり面白くなさそうな低い声。
そんなふたりの前ではサイと名無子が誰の視線も気にすることなく、「美味しいね」と微笑みあっている。
ついにはナルトが我慢しきれず、二人を指差し、大声をあげた。

「あぁ、もう!! お前ら、イチャつくなら他の場所で二人っきりのときにしてくれってばよ!! 見てるこっちがイライラするッ」

その声に対面のふたりが視線を寄こす。
それはどちらも感情の薄い涼しいまなざしで、ひどく似ているものだ。

「イチャついてなんかいないけど」

サイが意味がわからないといった顔でナルトを見、名無子も首を微妙に傾けている。
それから、互いに顔を見合わせ、「ねぇ」と頷いた。

「だからッ、そういうのがイチャついてるって言ってんだ!!」

ナルトがテーブルをバンバン叩き、横でサクラが額に手を当てる。

まったくわかってないわけね。
互いの好意がどれだけだだ漏れか――。

サクラがはぁーっとため息をついた。

……やっぱり似てるわ、このふたり。

自分が名無子に初めて会った時、抱いた感覚をサクラはどこか懐かしく、どこか苦々しく思いだす。
横では相変わらず、ナルトがふたりに噛みついていて、それでもサイと名無子はどこまでも涼しい瞳で座っていた。





end.
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