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episode.29 (ページ1/2)

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「どうかされましたか?」

心中、汗を掻きまくり、叫びっぱなしの私に向かって、フミさんがもう一度訊ねてくる。
しわとしわの間からこんなときだけ眼球が異様な光とともに、逃げるつもりじゃなかろうな、と、人とは思えぬ異形な威嚇を放って見えるのは、之、幻覚だろうか。

「いや、だから、その……えーーっと」

か、考えろ、私ッ。
考えるんだ……!!
ここからうまく抜けだす言い訳をッ!!

アハアハと変な笑いで顔を引きつらせながら、私は必死に言葉を探す。

「ですからぁ……なんてゆーか、ネジの……ね?」
「ネジぼっちゃま? ネジぼっちゃまがどうかされましたか?」

いや、どうもされちゃいないけどさぁ……。

私はこの場を逃れる理由を思いつくまでの時間稼ぎに、フミさんの食い付きの良いネジぼっちゃまの名前をすこぶる乱用し、あまつさえ国語で習う文法バリに活用変化を加えはじめた。

「ネジの……いやぁー、その、ネジが……っつぅーか、ネジに、ネジを、ネジは、ネジで……」



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