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episode.24 (ページ1/2)

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あのあと、ネジはフミさんにもかけあってくれたらしい。
おかげで私は今日一日、水仕事免除ってことになった。
それはそれで、有り難い反面、不意に浮いた時間をどうしたものかと悩む羽目にも陥った。
とはいえ、当然、水仕事免除のほうが嬉しいわけで、私はすぐにやることを見つけ、突如湧いた自由な時間をうまく利用しはじめた。
私が見つけたやることとは、コレすなわち、裁縫、だ。
私はフミさんから白い布をもらい受け、裁縫を始めたのだ。
別に裁縫は私の趣味でも特技でもなんでもない。
強いて言ってみたところで、とうていそんなものからは程遠い。
断言するが、下手だ。
料理と同じレベルだ。
その私がなんで裁縫って、それは――。

どうにかしないとなるまい、このボロぞうきん……。

部屋の隅に捨て置かれている例のブツ、つまり、洗濯に失敗して穴だらけと化したネジの着物のためだった。
アレを見るたび、一応は私の中の小さなミクロ単位の良心もひそかな痛みを呈し、なんとかせねば、と思ってはいた。
しかし、自信を持って言おう、あそこまで見事な破滅具合には手も足もでないというものだ。
生半可な修正など受け付けないほどに、モノは立派に退廃している。
ここまでいくと実に潔い。
その崇高なる気高きデカダンスっぷりには軽く頭がさがる思いさえ覚える。

いや、やったのは私なんだけどね……。

とにかく、修繕という手立ては使えぬモノである以上、私は新たな手段に訴えでることにした。
要するに、まっさらな白布から新品の着物一枚を仕立てることにしたのだ。



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