Break for
episode.17 (ページ9/9)

 bookmark?


わずかだけど、今一瞬、ネジに触れたいような衝動に駆られた。

……って、な、な、な、なに思ってんの、私!!

慌てて気持ちを打ち消して、私は逃げ出すように部屋を出る。
行きと同様、脇目もふらず廊下を抜け、勢いよく自室に飛び込んだ。
入口のそばに突っ立つ自分の胸は異様な速さで動いている。
でも、この心臓の異常な動きはただ急いで部屋に戻ってきたからってだけじゃないだろう。

あぁ、もう……何、ドキドキしてんのよ……。

思いだされるネジの優しい寝顔と、それに手を伸ばしていた自分の衝動に、動悸がさらに激しさを増す。
私はぎゅっと目を閉じて、何度か深呼吸を繰り返した。
ようやく落ち着きを取り戻した6度目の呼気で、私は目を開ける。
と、その目に部屋の片隅に追いやられたネジの洗濯物が映し出された。
先ほど自分が捨て置いたそれだ。
私はオズオズと近寄っていき、前にしゃがみ込む。
ほんの少し、躊躇して、けれど、やっぱり私はそれらを胸に抱え上げた。
立ち上がり、部屋を後にする。
そうして、廊下を辿り、再びネジの部屋の前に着いた私は、廊下に面した障子戸をゆっくり開けて、入口付近にそっと服を置いた。
中にいるネジの、気持ちよさそうに寝ている気配に、ドクンッと心臓が唸りを上げる。
それを無理やり押さえつけ、

「おやすみ、ネジ」

私は小さく小さく呟くと、障子戸を静かに閉じた。





to be continued.
(ページ9/9)
-79-
|
 back
select page/141

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -