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episode.17 (ページ4/9)

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おそらくまだ任務についているであろうネジのことを素直にそう思っていると、フッと背後に何かの気配を感じた。
ハッと庭のほうを振り向けば、真っ黒な人影が目の中に飛び込んでくる。
まん丸の大きな銀の月を背にして、宙高く舞う人の姿。
その光景があまりにもキレイで、私は思わず息を飲んだ。
声もなく呆然と見惚れる私の前で、黒い影は軽やかな着地音たて、庭の地面に降り立った。
そして、そこからまっすぐに私の顔を見つめてきた。

「なんだ、お前か、名無子。まだ起きていたのか?」

耳に届いた棘のある声に慌てて相手を凝視する。
見覚えのある顔に、私はポツリと名前を漏らした。

「ネジ……」

どうやら任務から帰ってきたらしい。
庭先には月の中から飛び出してきたようなネジが、月の光を受けて発光するみたいにほの白く立っている。
その姿に私は妙にドキッとした。
ひどくキレイだなんて思ってる自分がいる。
不本意ではあるけれど、やっぱりネジは天才と言われるだけの神々しさをまとっていると思わされた。
目の前のネジはそう思うには充分すぎるほどにキレイで、そして、私はそのあまりのキレイさに正直、目をそらせないでいた。
そんな私の視線に構うことなく、ネジはツカツカと私の足元までやってきて、板張りの廊下にドカッと座りこむ。



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