Break for
episode.17 (ページ3/9)

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追い立てられるような生理現象から解放されたせいだろうか、行きはその焦燥感と純粋な恐怖心でまったく目に入れようとしなかった廊下も、多少落ち着きを取り戻した今はさほど怖くは感じなかった。
よく見れば、庭に面しているおかげで外から月明かりが差し込み、意外と明るい。
歴史ある日向家の重厚な廊下に崇高な美しささえ醸し出しているほどだ。

とはいえ、油断は禁物。
世の中、いろんなオバケや妖怪がいるからな。
……そう、フミさんとか。
アレも妖怪だろうな。
いや、絶対、妖怪だからな。
こんなとこで出てこられたら、心臓止まるっつぅーの。

念には念を入れ、私はスタスタと妖怪……特に子泣き爺の類に注意を払いながら歩いていく。
と、私の目にひとつの部屋が留まった。
灯りのともらぬその真っ暗な部屋はネジの部屋だ。
人気を感じさせず、前方にひっそりたたずむ様は、主の不在を示しているようで、私は廊下に足を止め、ネジが寝起きしている一室の障子戸を少しばかり見つめた。

ネジ、まだ帰ってきてないのかな?

ネジは毎日、任務で相当忙しいようだ。
今日も朝、見送ったきり、夕飯時にも帰ってきてはおらず、その姿を見てはいない。
認めるのは悔しいが、なんと言っても同期の中で一番に上忍に昇格したほどの実力者だし、皆からの期待があついのも確かで、ネジはいつも大変な任務を任されている。
今回もそういった任務に参画し、帰りが遅くなっているのだろう。

頑張ってるなぁー、ネジ。



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