Break for
episode.12 (ページ2/4)

 bookmark?


フミさんは首を振り振り、さも嘆かわしいといった態で続ける。

「花嫁修業がキツイからといって、この体たらく……しかも、まだいらして二日目、たいした修業はしていないのですよ? フミはあのような方がネジ坊ちゃまの奥方になられるのかと思うと不安で不安で……」

名無子が塀から脱走しようとした、か。

フミさんの話を聞いて、俺は心の中で妙に納得していた。
俺の恋人というわけでもなく、俺にたいした義理もない名無子。
それどころか、脅さなければ協力しないような、基本、犬猿の仲なのだ。
そこを思えば、アイツの起こした行動は実に理にかなったものだろう。
とはいえ、ここはそうも言ってられない。
俺の縁談が確実に壊れるまで、アイツが俺の恋人であるというイメージを崩すわけにはいかないのだ。

そのためにも、脱走だなんて事実、早いところ闇に葬り去らねば――。

俺は苦しくも冷静な顔をして、フミさんに意見を唱えた。

「脱走ってわけでは……ないんじゃないか?」
「あれは脱走に間違いございませんよ! 脱走でなければなんだとおっしゃるんですか?!」

俺の反論は言下に否定され、さらにはしわくちゃの面を下からズイッと突き上げるフミさんに詰め寄られる。
その予想以上の剣幕にひるみながらも、俺も冷や汗をかく脳みそで無理やり名無子のフォローをひねり出した。



(ページ2/4)
-53-
|
 back
select page/141

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -