Break for
episode.12 (ページ1/4)
自室に戻って早々、俺は大きなため息を吐きだした。
名無子め、あのアホが。
任務から帰ってきてまず、洗濯物をボロボロにされるという世にも恐ろしい破壊行為の洗礼を受けた。
しかし、アイツからの爆弾に熨斗つけてくれるような甚だ嫌がらせ的な進物はそれだけではなかった。
あのあと、悪夢の庭を去り、家に入った俺は廊下を歩いているところで、
「坊ちゃま! ネジ坊ちゃま!!」
フミさんの必死の呼びかけにつかまった。
なんだ? と振り向く俺の前で、フミさんは声を荒げて名無子の愚かな行動を懸命に報告し始めたのだ。
「聞いてくださいませ、坊ちゃま! あろうことか名無子さんはこの家からの脱走を試みたんでございますよ!!」
は?
脱走?
眉をしかめた俺を見て、自分の言葉が信じてもらえていないと思ったのか、フミさんは廊下から見える外塀をビシッと指差した。
「あの塀でございます、あの塀から逃げ出そうとなさったんです! 日向家の嫁になろうというお方が脱走を謀るだなんて、なんと情けない話でございましょう!!」
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