Break for
episode.10 (ページ2/3)
どうして人はこういう何か必死に誤魔化したいことがあるときに限って挑むように反語口調で問いかけてしまうんだろう。
そして、それはたいてい、敗北の道へと続いていく――。
「……」
「……」
「……」
「……テヘ」
「白眼ッ!!」
ぎゃあぁぁーー!!
予想通りと言うべきか、私の平ったいフェイクに引っかかるはずもなく、ネジは白眼全開で容赦なく私を睨みつけ、ギリッと歯噛みした。
「だから……どうやって洗ったらこんなボロきれみたいになるんだッ」
「いや、あの、ちょっと水遁を……」
「水遁だと?!」
「えぇ、まぁ、水遁の術で桶ン中にグルグルグールと洗濯機の水流作って洗ったんだよねーー。で、ちょーっと調子に乗って水流速めたらさぁーー……」
止めらんなくなっちゃったんだよねーー。
そのおかげで激しい回転に巻き込まれた着物たちは見る影もなく傷み切ってボロボロになってしまったというわけだ。
「アハハ」
「アハハじゃないーー!!」
ネジが大きな声でブチ切れた。
日頃クールさを誇るネジも自分自身に降りかかったこの惨劇には呆れなど楽に通り越し、怒りという感情の一線を軽く高跳びしたようだ。
眉間に不必要な皺まで寄せて白眼にさらなる力を注ぎ込む。
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