Break for
episode.10 (ページ1/3)
夕方、庭に干していた洗濯物を、
マジでまいったわ、コレ……。
若干顔を青ざめさせて取りこんでいると、
「ほぉー。洗濯してくれたのか」
背後から今一番聞きたくない声がかかった。
振り向けば案の定、任務から帰ってきたネジの姿が目に映る。
「あ……ネジさま……」
突然サマ付けなんかする私にネジは無言で嫌そうな顔を見せ、取り込み途中の洗濯物へと目を向けた。
「うちはずいぶん年季の入ったぞうきんを使っているな。穴だらけじゃないか。そろそろ捨てていい頃だぞ」
「あ、いや、あの、それは……」
言い淀む私をネジが、ん? と見て、そんなネジに私はアハハ……と笑いながら、
「それ、ネジの着物、なんだよねーー……」
出来る限り軽快な雰囲気でありとあらゆる森羅万象を包み込んでしまおうみたいな顔をして告げた。
「俺の着物?」
「そうそう、ネジの着物?」
当たり前的な、それ以外に何かあるのかくらいな空気で、妙に自信たっぷりに右上がりの疑問形で受けて返す。
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