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episode.07 (ページ2/5)

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「名無子さん」

聞いたことのあるしわがれ声に、もしや……と恐る恐る振り返る。

オババ……。

いつの間に現れたのか、背後には大量の洗濯物を抱えたフミさんがビビりがちに振り向いた私のことを泰然と待ちかまえていた。
そのしわに埋もれた瞳が、どこにあるのか姿が見えないながらも襞の間からキラリーンと光を放つ。

「ここから出られるとお思いですか?」

地底深く地獄の果てから響くようなおぞましい物の怪の声に、私は地面に座り込んだまま頬を引きつらせ、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「いや……これは――」

っていうか、無理ぃぃいーー!!

私は心の中で絶叫する。

いや、もうホント無理無理無理、こんなとこから逃げるの無理ッ!!
だって、そりゃそうだろう、なんだって通常、外部からの侵入者に対して発動するはずの防護装置がたかがこの妖怪オババの住まう憎き白眼屋敷からの脱走者に向けて牙を剥くんだ?!
おかしいだろ、完璧おかしいだろ!
使うなら外的防衛能として用法用量を正しく守って使ってくれよ!!
いたいけな私の逃亡経路をそんな物騒なもので妨害しないでくれッ!!



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