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episode.06 (ページ5/5)

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そのことがすごく意外で、とってもとっても頭に、心に、引っかかる。
食べるわけないと思っていた。
ネジのことだから、こんなもの食えるかって呆れるか怒るかして、それで終わると思っていた。

なのに、なんで――きれいに食べちゃうのよ?

食べ残しのまったくない皿を次々と洗いながら、頭に浮かぶネジのムカつくほど端正な顔に私は眉をしかめた。
なんかネジに気遣われたような気になってくる。
料理が下手でも自分のために作ったからとか、わざわざ早起きしてくれたからとか、そういうことをネジに気遣ってもらった気分だ。
でもそれは私には妙に居心地が悪いもので、私はフルフルと頭を振った。
ネジらしくない。
そうなんだ、そんなふうに気遣うなんてネジらしくないのだ。
ネジはいつだって腹立たしいほど冷たくて、優しさなんてコレっぽっちも見せてくれたことがない。
いつも上から目線で私をバカにして、今朝だってアホとか言って――。
そこまで考えて、私はやっぱりナイな、と思い直す。

ナイ、ナイ!
ネジが気遣いだなんて私にだけはそれはナイ!!

今までのネジの私の扱いから言ってもそんなこと有り得ないに決まっている、第一そういう酷いネジでいてくれなければ私が困る。
だって、そうじゃなきゃ、

「私の調子が狂うっつぅーの……!」

私は勢いよく流れる水に向かって胸に転がる変なつかえを小さな声で吐き出した。





to be continued.
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