Break for
episode.06 (ページ4/5)
私の驚愕になど構うことなく、ネジは見ただけでマズさがわかると評した私の朝食を手にした箸で静かに食べ始めた。
ちょッ……や、やだ、食べてるッ……!!
だんまり状態で食べ続けるネジを私は動揺激しく慌てて止めにかかった。
「ネ、ネジ、無理して食べなくていいってば――」
さっきまでの突っ込みの勢いはどこへやら、私は情けない顔でオロオロと告げる。
しかし、ネジは私を見ることもせず箸を進めていく。
「仕方ないだろ、朝食を食わなきゃ任務で体がもたないんだ。こんな朝飯でも食うしかない」
「でも……」
「それに俺はお前みたいなアホになるのはゴメンだからな」
散々悪態をついて、それでもネジは私の作った朝食をすべてきれいに食べ切っていった。
ガチャガチャと炊事場の流しで私は食器を洗っていた。
洗っているのはもちろん、さっきまでネジの前に出されていた朝食の皿たちだ。
それらを黙々と洗う私の頭の中ではなにかひどく釈然としない塊が変な存在感とともにコロリと転がっている。
実家暮らしで料理なんかほとんど作ったことのない私の朝ごはんはさぞかし酷かったことだろう。
でも、それをネジはきれいに平らげていった。
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