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episode.06 (ページ3/5)

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ふぅーん、て何、ふぅーん、て。
もっとあるだろ、言うことが。
お礼とか、もしくはお礼とか、あるいはありがとうとか。

ネジの反応を不満げに見つめ返す私の前で再びネジが口を開いた。

「まぁ、見ただけでマズイとわかる料理を作るのもある意味お前の才能というやつか」

感心とも非難ともつかぬ口調でのたまい、ネジは目の前の皿に視線を落とす。

「それにしても、よくここまで食材の良さを破壊しきれるな。この皿の上の黒い物体は一体何だ?」
「あぁ、それ? そんなの見ればわかるじゃない、紅鮭の焼き物」

ネジの視線を追って私が自信満々に答えると、皿上の真っ黒な化学反応物質とは対照的に塵ひとつついていないまっ白な着物に身を包んだネジが実に嫌そうに顔をしかめた。

「どこが見ればわかるんだ。紅鮭っていうのは紅色だから紅鮭なんだ。これにはひとかけの紅色も見れないじゃないか。炭だろ。完ペキ炭だろ、これ。炭焼いて盛りつけたんだろ、お前」

ネジは私の自慢の紅鮭をアッサリ切り捨てて、いつものように大仰なため息をかました。

「はぁぁぁーー。俺はお前のせいで必ず絶対確実に病気になるな」

ネジはうんざり顔で病気になるという言葉を厭味ったらしく同じ意味の副詞で三度強調し、その後なにを思ったのか、フッと箸を握った。

え?
ネジ?

不意の行為に私は目を瞠る。



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