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episode.05 (ページ5/5)

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実家のあらましを話し終えると、フミさんは最後に、

「実にお喜びのご様子で」

そう言って締めくくった。

「――――」

私は思わず無言で口元を押さえる。

お喜びっていうか、もう、さぁッ!!

私はサムシング・フォーやら玉の輿やらとウカレ放題だった母親と左京・鶴山の相方コンビに埋もれ放題だった父親の様子に恥ずかしさを通り越して猛烈な怒りを覚えた。

あの親ありえなくね?!
なんだよ、その体たらくぶりはッ!!
っつぅーか、アイツらどんだけサムシング・フォーと『相方』が好きなんだよ!!
アイツらを構成する主成分はサムシング・フォーと『相方』か!!

どう考えても自分の娘の結婚話に動揺の欠片もなかった両親の反応は不本意極まりない。
先ほどまで彼らの様子を心配してやっていた自分の優しさもバカバカしくなり、「もっと娘のことを真剣に考えろや!!」と声を大にして言いたくなった。

もうホント、帰ったら絶対ぇ許さねぇからなッ。

ただでさえ痛む頭にさらなる痛みを加えた私は、行き場のない怒りにギリリと奥歯を噛みしめる。
廊下をたどる足も嫌々さを増し、いい加減その歩みが止まろうとしたとき、前を行くフミさんの背がぴたりと進みを停止した。
シワシワの顔がこちらを見上げる。

「今日からこのお部屋をお使いくださいますように」

私の目の前に六畳一間の座敷部屋がまるで鉄格子のはまった牢獄バリに奥行きのある拘束感で広がった。





to be continued.
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