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episode.04 (ページ2/6)

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こりゃしがみつかれたら死活問題だ、などと考えながら、白髪メインの髪の毛を後頭部に丸くまとめたオババを眺める。
エンジ色に金の唐草模様が入った仕立てのいい着物に身を包んだオババはネジに向かって何度もうなずいてみせた。

「えぇ、えぇ、もう、聞いておりますよ。ヒアシ様からのお使いが参りましたからね。すっかり準備は整っております、ネジ坊ちゃま」

準備って何の準備だよ?

わずかな疑問を抱く私の横で、ネジが労いの言葉をかけた。

「そうか、それは助かる、フミさん」

フミさんと呼ばれた妖怪が今度はその満面のしわくちゃを私に向け、礼儀正しく自己紹介に入った。

「わたくし、日向家にお仕えして早58年、青武フミと申します」
「あぁ、あの土踏まずで踏むと気持ちいいヤツ?」
「それは青竹踏みでございましょ?! わたくしは青武フミ!! 漢字も発音も違いますッ!! 踏みじゃなくて、フミ! フにアクセントを置いてフミでございますよ!!」
「あぁ、そうなんだ、ハイハイ、どうぞよろしく〜」

正直そんなのどっちでもいい。
今は人の名前の御託よりこの自分の状況から逃げ出したい気持ちでいっぱい、私の返事が適当さ丸出しになるのも仕方がない。
しかし、ぞんざいに返した挨拶にフミさんがブチ切れぎみに叫んだ。



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