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episode.03 (ページ4/5)

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人気者なアズラン様をこの手につかむためには当然のことながら、任務後に買いに行けばいい、なんていう悠長な考えは通用しない。
そんな姿勢でいたら愛しのアズラン様はすべて他の女どもに奪い取られてしまう。
早期から荒れ狂う獲得戦線に身を投じる覚悟のない者にはアズラン様を手にする資格はないのだ。
私は迷うことなく販売店の前に立ち並ぶ長蛇の列に早朝から加わり、その日の任務は完全放棄、その努力の甲斐あって無事アズラン様をモノにした。
が、穴を開けた任務、そこが問題だ。
もともと任務など入ってなければよかったのだが、フィギュア発売は急に決まった話らしく、私がそれを知ったときには発売日も間近に迫り、任務もすでに入れてしまった後だった。
任務を代わってくれる人間をあわてて探した。
なかなかそういう人が見つからず焦っていたせいもあるだろう、いつもなら絶対に頼まないネジであっても代わってくれるなら、と声をかけ、不承不承うなずいたネジに私は平身低頭お願いしてしまってた。
ネジに借りを作るより、任務を代わってくれる人が他に見つからないリスクのほうが嫌だったということだが、

それが、このザマか……。

今さらながら、あのときの自分の浅はかさが忌々しく思われる。
かと言って、河童アズラン様を逃してよかったかと聞かれれば、そこはやっぱり何が何でも逃したくはなかったとしか答えられない。
アズラン様はどーしても手に入れたかった。
だってアズラン様が河童だぞ?
頭にお皿、左手にキュウリだぞ?
それはもう、萌えまくりだろう。
うちに飾らずしてどこに飾るというんだ。
私はアズラン様購入時の熱い想いを思い出し、ネジに訴えかけた。

「いや、そりゃ感謝してるよ! でも、それとこれとは……」

ネジが私を冷ややかに見る。



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