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episode.30 (ページ4/4)

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心もろとも松になりきり、三秒数えたのち、私は再び、ネジたちが歩む縁側廊下へと視線を走らせた。
私のこの上忍顔負けの一心同体の術(松との)によりネジたちは、うまい具合にこちらの気配に気づくことなく、ある一室へと静かに消えていった。

あそこが、お見合いの座敷……。

ヒアシ様とともにネジが入っていった和室に狙いを定め、もっと見えるようにと身を乗り出してみたりする。
が、木の枝にしがみついた状態で室内の様子をうかがうには、距離的にも離れ過ぎているし、角度的にも限度があった。

あの障子戸、邪魔だっつぅーの。
ちっとも見えやしない――。

障子戸が閉まっていることに口をとがらせ文句を呟くも、しかし、扉全開にして、人に見せつけるようにお見合いする奴なんか、まずいなかろう。
そこは仕方ないというものだ。
かといって、雪見障子のガラス部分から中を見ようにも、自分の立ち位置が高すぎて覗きこめない。
私は突き出した口を引っ込め、やむを得ず、地面に降りることにした。
けれど、ただ地面に降り立っただけではネジに見つかるに決まっている。
私は枝の高みから自分の下の景色を見下ろし、隠れる場所を探した。
目に映ったあるモノに、

仕方ない……。
アレでいくか――。

私は左目を渋く細め、意を決した。





to be continued..
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