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episode.30 (ページ1/4)

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久々に吸う外界の空気に胸を躍らせるわけでもなく、私はただひたすらネジの姿を目指して走った。
どちらに向かったのかはわからないが、任務と違って走らずに歩いて進むネジたちを見つけるのはそんなに大変なことではないはずだ。
まずはネジが寄ったと思われる日向宗家におもむき、私はその周辺をある程度広範囲に捜索した。
案の定、ほどなくして、見合いに向かうネジとヒアシ様御一行の姿をとらえることができた。
あとはこのまま見つからないようについていけば、お見合い会場まで連れて行ってもらえる。
私は息つく間もなく、木の上を注意深く辿って、彼らの姿を追いかけて行った。





お見合い会場は、辺りを緑に囲まれた閑静な場所に建っていた。
建物は平屋造りの木造家屋で、敷地内には立派な和風庭園を備え、さながら上品な料亭といった風貌だ。
しかも、老舗らしい。
手入れは行き届いているものの、柱や板、瓦などには、使い込まれたり風雨にさらされたりして黒く変色、あるいは色褪せをみせている部分があるのだ。
そんな部分、出来て間もない建物に生じているはずがない。
この平屋がずいぶん昔からここに建っているという何よりの証拠だろう。
だが、それは歴史を感じさせこそすれ、古びれた印象や汚らしい印象を与えるものでは決してなかった。
むしろ、店に老舗としての風格や威厳を加えているといっていい。



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