Break for
episode.28 (ページ1/3)
なんでこんな気持ちになるんだろう。
次の日、お見合いに向かうネジを見送って自室に戻った私は、部屋の真ん中で女の子座りして、手近にあった座布団を抱きしめた。
なんかまるで、私がネジを好きになったみたいじゃないか――。
私は胸に抱えた座布団をさらに一層力を込めて抱きしめた。
そんなわけナイ。
そんなことあるわけナイ。
だって、私ら仲悪いし、全然気ィ合わないし。
好きになんかなるわけナイ。
「有り得ないってば、そんなこと……」
私は腕の中でひしゃげてる座布団に顔を埋めた。
そのまま、しばらくじっとしているものの、何かやってないことにはイライライライラするばかりだと気づく。
私は座布団から顔をあげ、何をしようか、部屋の中に目を走らせた。
「…………」
不意に目に留まった白いモノに、私の意識が吸い取られる。
その白い物体は、ついこの前縫い始めたネジの着物だ。
私は抱えていた座布団を離し、四つん這いの格好で、ズリズリとその縫いかけの白い布に近寄った。
頭の中に、白い着物姿のネジが映し出される。
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