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episode.26 (ページ2/3)

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「そんな……」

俺は言葉を詰まらせた。

恋人がいても見合いがしたいとは一体どういう料簡だ。
そこまでする価値なんかどこにもないだろう?
いや、あるいは、この日向という名に惹かれているということなのか。
だったら、なおのこと御免こうむる。

「……お断りします」

俺が苦い顔で答えたところで、ヒアシ様の説得をとどめる糧にはならなかったらしい。
俺と似たり寄ったりな苦渋の面で、ヒアシ様は再び口を開いた。

「あちらも一度はお断りの旨、了解してくださったんだが、どういうわけか、昨日からまた話を蒸し返してきてな。私も固辞する方向で粘ってはみたものの、向こうの押しには勝てなかったのだ。お前にも名無子さんにも申し訳ないと思っている。しかし、ここは日向家の顔を立てると思って、明日のお見合いに行ってくれないだろうか」

ヒアシ様はまるで俺に頭を下げるような口調で頼んでくる。
思わず俺は押し黙った。
行きたくない。
見合いになんか行きたくはなかった。
その思いはこの縁談話が持ち上がったときから変わらずで、でも、なんでだろう、以前よりも格段に増して俺の胸を締めつけてくるようだった。

どうしてこんなにも見合いに対する拒絶感がでかくなっているんだ……?

疑問に思う俺の脳裏に不意に名無子の顔が浮かんだ。



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