Break for
episode.02 (ページ5/8)
喉元に声を凍りつかせ固まる私の様子に安心と納得がいったのか、ネジは私からヒアシ様へと視線を戻した。
日向家の二人は再び面と向き合い、話を進め始める。
胸中焦りまくりの私は淀みなく流れていく話についていけず、完全に置いてきぼりだ。
それでも、ヒアシ様が厳かに告げた一言にハッと我に返った。
「そうか、そういうことであれば、この縁談はお断りすることにしよう」
え、何?
縁談?
「ありがとうございます」
隣でホッとしたように頭をさげるネジに、聞こえたばかりの単語を急いで重ねる。
縁談て、そんな話、ネジにあったの?
ってか、縁談?!
慌てふためく脳ミソで懸命に考えて、僅かながらも一筋の光が見えてくる。
そして、そうか、とやっと現状を把握できた。
つまり、ネジは縁談を断るために私を恋人代わりに連れてきたんだ。
それならテンテンに頼めなかったのも合点がいく。
確かにいつもチームを組んでいるテンテンとではヒアシ様にもその仲が明快すぎて今さら、恋人です、と紹介できる感じではないだろう。
なるほど、さすが、ネジ。
考えたものね。
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