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episode.25 (ページ3/4)

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薬屋の前に立ち、俺は店の外からもう一度、店内をのぞきこんだ。

せめてアカギレに効く薬でも手に入れて帰れたら、アイツは喜ぶだろうか。

アイツの喜ぶ姿を、喜ぶ顔を見たいと、そう思ってる自分に気づいて、俺はあからさまに顔をしかめた。
アイツのそんな姿を望むなんて一体なんなんだろうか。
正直、こんな自分は気持ち悪い。
虫唾が走るというものだ。

やっぱり、やめだ。

俺は入ろうか入るまいかと悩んでいた薬屋にサッと背を向けた。
と、そのとき、

「どこか具合でも悪いのですか?」

俺の真正面から声をかけてくる者がいた。
目を上げてみれば、門前通りに見知った人物がこちらを向いて立っている。
この間の任務で助けた結界忍術班の女だ。
あぁ、この人か、と思いながら、俺は彼女の質問に軽く首を振った。

「いえ、具合が悪いわけでは……ただ軟膏を買おうかどうか迷っていただけです」
「軟膏ですか?」
「えぇ、まぁ……アカギレに効くような」
「アカギレ、ですか」

俺の口から出たアカギレという言葉に意外そうな顔をされる。
確かにアカギレといったら家事などで女性がつくるイメージが大きい。
男の俺が口にするには不似合いな単語だろう。
それに気づき、俺は今までのアカギレのくだりを誤魔化すように質問を投げた。

「何か良い軟膏をご存知ですか?」
「そうですねぇ……。あ、クジャク印の軟膏がいいと聞いたことがあります。アカギレにもよく効くとか」

アカギレから話をそらすことはできなかったものの、おかげで新たな情報を得ることにはなった。

「クジャク印。そうですか、探してみます。ありがとうございます」

俺は短く礼を述べ、ひとまず彼女との会話から逃げるためにも薬屋の店内に入りこんだ。






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