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episode.25 (ページ2/4)

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これと似た経験は、以前にもしたことがあった。
はじめて受けた中忍試験のときだ。
ナルトのおかげで、俺は一度、自分の気持ちってやつを救われていた。
確かにあのときもこんなふうに日向の忌まわしい呪縛から自由を得たと感じている。
それでも、やはり、俺は日向という家そのものの束縛からどこか抜けだせきれずにいたらしい。
脈々と受け継がれてきた因習を否定しながらも、家の持つ歴史の重さやまわりの評価に抵抗しきれず、甘んじてきてしまった自分は何よりの証拠だろう。
だから、昨日のアイツの行動は、あの下忍時代の出来事を再び鮮明に思いださせ、さらには当時以上の大きな衝撃を俺に与えた。
目の前で日向分家が常に掲げてきた家訓の板を砕くという、とうてい尋常とは思えぬ直接的破壊行動を突きつけられたせいかもしれない。
アイツのその姿が、言葉だけじゃなく、真っ向から日向宗家に立ち向かっているように見えたからかもしれない。
だからこそ、こんなにも激しい衝撃を俺は味わっているんだろう。
理由はなんであれ、昨日のアイツはかつてないほどのインパクトで俺に激突し、自分じゃ決して壊せなかった強固な檻をいとも簡単に壊してみせた。
そして、その事実は、俺にどうしようもなく絶対的な安らぎを与えたんだ。
感謝している。
だからケガの治療をしてやった。
そしたらアイツは礼まで口にした。
ありがとうって。
言うわけないと思っていた言葉を俺に伝えてきた。

本当は、もう少し、優しくしてやりたかったんだ。

でも、俺はアイツに優しくなんかしてやれなくて、いつもの素っ気ない態度になるだけだった。



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