Break for
episode.24 (ページ2/2)

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そして、今、それに取りかかっている。
まずは、このボロボロの布っきれと成り果て、着物として着られていたなんてちょっと想像が及ばない代物から、神業的になんとか型を立ち上げた。
その型を元に布を切っていく。
前述したが、私は縫物なんて得意ではない。
正直、めんどくさくてめんどくさくて、たまったもんじゃない。
でも、なんかそうも言ってられなくて、私は真剣な顔で片目をつぶり、ちっさな針穴に糸を通した。

そう、なんでかそうも言ってらんないんだ――。

私は心の中でもう一度、呟いた。
よくわからないけれど、私の体を変な衝動が駆け抜けていく。
いてもたってもいられぬような「何かしたい」という情動が私を支配してかかる。
そして、それは――ネジのために、なんだ。
なんでそんなことを思うのか、自分でもよくわかりはしないけど、今の私はネジにのしかかる何かをひとつでも壊したいだなんて望んでた。
もちろん、着物なんか縫ったって、何も壊せてはいないし、なんにもならないんだけど。
でも、何かしてなきゃ落ちつかないような、いたたまれなさに追い込まれる。
私はセッセと針を動かした。
その動きに合わせて、キレイに揃うわけなどない縫い目の数がえらいスロースピードで増えていく。
それを眺めながら漠然と思う。
昨日の夜、ネジが見せた寝顔のように、柔らかな安心したような表情をまた見せてくれたら。
さっきのように、優しげな笑みをまた浮かべてくれたら。
私が何かを壊すその先にネジのそんな顔が待っていたら。
そしたらすごくいいと、思ったりするんだ。





to be continued.
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