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episode.22 (ページ4/4)

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「名無子……」

先ほどまでの大怒りは鳴りを潜め、めずらしく真顔でちゃんと名前を呼ぶ。
そんなこと滅多にないものだから、私は妙に照れくさく、ついぶっきらぼうに返してしまった。

「な、なによ……」
「お前はホントになんでも壊していくんだな」

尊敬というか呆れというか、感情の読みきれないまなざしをネジが寄こした。
後頭部を掻き掻き、私は答える。

「いや、なに、そんなに褒められても……」
「アホ。褒めてはいないだろーが、褒めては」

満更でもナイ顔の私に、ネジは今度こそ呆れ調子でのたまい、しかし、それからすぐに、いつもは毅然とした怜悧な表情にふーっと微かな笑みを浮かべた。
初めて私に向けられたそんな優しい瞳に、ゆるめられた口元に、私の胸がトクンと唸る。
ずるいくらいキレイで吸い込まれそうなネジから慌てて視線をはずすと、ネジが私のそばにゆっくりと近づいてきた。
私の手に目を落とし、そっとつかむ。

「手が、血だらけだ。今、治療してやる」

ネジはひどく穏やかな声でそう呟いた。





to be continued.
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