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episode.22 (ページ3/4)

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それでも私はいつもの、いや、それ以上に、なんてことない顔で答えていた。

「あぁ、コレ? これなら掃除してるだけだけど?」
「掃除だとッ?! 何をいってるのかわかってるのか、お前は!!」

さらに一層、眉間に力を込めたネジに私は軽く頷いた。

「わかってるわよ、だから掃除してるって言ってんじゃないよ。私はここにいらないモノを片してるだけ。だって、こんな古びたしきたり、誰も使わないでしょ。そんなのゴミと一緒だっつぅーの。さっさと捨てるに限るって」

さっきまで私たちを見下ろすように床の間の高みに君臨していた戒律の板は、私の拳のおかげで今はボコボコに削られ、割れ目も入り、板上に書かれた文字など既に読み取れやしない。
しっかりと砕かれたその板に満足しながら、私はついついネジに向かって笑いかけてしまった。

「そんで、新しく作ればいい。日向のしきたりは。これからネジがさ。ね?」

キミを苦しめることのない、後世の人をも苦しめない日向の新たなしきたりを、これまで嫌と言うほどその痛みを享受したネジが作ってみせればいい。

そうでしょ、ネジ?

声を飲み、やたら真っ直ぐな視線で、ネジが私を見つめてくる。
そのまま時を忘れたようにネジは私を凝視して、私たちふたりのまわりにちょっとばかり沈黙がおとずれた。
どのくらいそうしていただろう。
しばらくして、その沈黙を破ったのは、ふっとしたネジの呟きだった。



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