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第5話番外編 (ページ11/13)

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閉められた障子戸をねめつけながら、私は怒りにまかせてムシャムシャとカツ丼を噛みしめる。
でも、その味は確かに美味しくて、ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
そして、ちょっとだけだけど、両親も心配しているのだろうな、なんて思いが生まれた。
験をかついでくれたり、自分が好きなDVDを送ってくれたり、それは彼らなりの優しさと言えないわけではないんだ。
私はカツ丼をもう一口、口に運ぶ。
口に広がるカツ丼の甘味を含む優しい味。
その旨さにほだされたのか、私は、ふと胸の内で呟いていた。

もしかして、励まそうとしてくれたのか……ネジは?

私のあまりに撃沈する姿を可哀想に思って、母親の作ったカツ丼をすすめてくれたのだろうか。
これを食えば、ちょっとは親の気持ちがわかるだろ、と。
そしたら、少しは元気になれるだろ、と。
そんなふうに考えて、ヤツは私にカツ丼を差し出してきたんだろうか。

いや、深読みしすぎだろ、私。
ナイナイ、あのネジが私を励まそうとか、ほんとナイね、まったく。

自分の考えをあるわけないと力強く否定して、私はさらに箸をすすめた。
パクリと、自分が折ったせいでやけに短くなった箸を口にくわえる。
と、そのとき、不意に気がついた。

え、アレ?
この箸って……。
ネジさんも使っていらっしゃいませんでした……っけ?



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