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第5話番外編 (ページ5/13)

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「お前のうちはなんだかずいぶん変な生き物に荷物を運ばせるんだな」
「変なの?」

そこでようやく目を向ければ、視線の先で、ネジが苦い顔でうなずいた。

「あぁ。人じゃなくてだな。こう、結構大きな甲羅があって、そこから硬そうな尻尾のようなものが生えていて……」
「はいはい、それね。カブトガニ」
「カブトガニッ?!」
「うん、うちのお父さんが飼ってる忍カブ。それが甲羅の上に荷物背負って運んできてくれたんでしょ」
「え、忍カ……? いや、ちょっ……カブトガニって絶滅危惧種だろ、天然記念物指定だって受けてなかったか?! それを、えぇ?!」
「そうなんだよねー、うちのお父さん、ほんとカブトガニ飼うだなんて困っちゃうよねー。好み、渋すぎ」
「違う!! 好みとかそういうことを突っ込んでるんじゃない!! 俺は、そんな希少種を忍動物に使ったらマズイだろって言ってるんだッ」
「わかった、わかった、実家帰ったらお父さんに伝えとくから」

ネジの生真面目な説教を軽く受け流し、私はさっさと段ボールに向き合った。
そして、丁寧に、かつ勢いよくその蓋を跳ね開ける。

ジャーン!!

待ちわびた瞬間だ。
心の中で大げさなファンファーレを叫び、浮き立つ思いで中に目をやった。
しかし、次の瞬間――。

「なんだ、コレェェエエエーー!!」

箱の中におさめられていたものに私は雄叫び声をあげた。



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